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慶應義塾大学先端生命科学研究所 からだ館

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からだ館健幸大学2025 第3回 グリーフケア 悲しみから一歩ずつ 開催しました。

からだ館健幸大学2025 第3回 グリーフケア 悲しみから一歩ずつ 開催しました。

2025年 7月17日(木)13:30~15:00

参加者 7名 

今回のテーマは「ともに支えあうために大切なこと」です。

 

講義紹介:グリーフケア「物語としてのケア ~ナラティブ・アプローチ~」

亡くなった人への思いを、語ることで癒す
この講義では、グリーフケアにおける「ナラティブ・アプローチ(物語としてのケア)」について学びました。

 

ナラティブとは何か

「ナラティブ」とは物語のこと。
人は語ることで、自分の経験や感情を整理し、意味づけていきます。
とくにグリーフ(喪失の悲しみ)においては、亡くなった人への思いを「語られなかった物語」から「語られた物語」へと変えていくことが、心の中でその人の存在を新たに位置づける大切なプロセスとなります。

 

語りを支える存在

 

語りには、確かに「聞き届けてくれる人」の存在が必要です。
聞き手がいなければ、それはただのひとりごとになってしまい、語られない物語はやがて風化してしまいます。
しかし、誰にでも語れるわけではありません。
語り手が安心して語れるような、聞き手の存在が何よりも大切です。

 

物語を語り合うために大切なこと

 

  • 傾聴と共感:技法ではなく、心の持ちよう。聞き手は分析や解釈をせず、ただそのまま聴くこと。
  • 対話の姿勢:語り合うことで、互いの「語られなかった物語」に触れる。聞くだけでなく、自分も語る。純粋な好奇心に導かれて耳を傾ける。

  

対話のルール

  1. 守秘義務を守る
  2. 比べない:本当の物語は本人にしかわからない。比べることに意味はない
  3. アドバイスしない:頼まれていない限り、助言は不要

 画像1 2025‐717.png  

参加者からの質問と講師の回答

 

Q:悲しみを乗り越えられないのは悪いことですか?
A:悪いことではありません。「乗り越える/乗り越えない」というイメージではないかもしれません。乗り越える対象は障害物ではありません。亡くなった人は確かに生きていた大切な存在。忘れてしまうことは、もったいないことです。その思いを抱えながら生きていくこと、それ自体が自然なプロセスです。

 

Q:グリーフの場にいても、何も話せないかもしれません。それでもいいですか?
A:無理に話す必要はありません。
聴くだけでも、ただその場にいるだけでも、十分に意味があります。

 

対話の練習と振り返り

講義の後半では、二人一組になり対話の練習を行いました。

笑顔もみられる楽しい時間となったようです。

 

亡き人のこと、亡き人への思い という共通のテーマを元に今日も多くの学びを得ました。

ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。