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慶應義塾大学先端生命科学研究所 からだ館

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キンタの死

 先日新聞を読んでいたら、鶴岡公園で飼われていたオス猿のキンタが2012年3月19日に死んだことを知った。
 32才だそうだ。人間なら100才を超えるような大往生だそうだ。
 キンタは生まれてからほどなく1986年に鶴岡公園に引き取られ、年上のメス猿キー子と一緒に住んでいた。98年キー子が死んでからは猿舎で死ぬまで一匹で過ごした。
 キンタはサービス精神旺盛な猿らしく近くの幼稚園児や公園に来た親子連れが通るたびに愛想をふっていたそうだ。
わたしはこの記事を読むまでいつも通っている公園通りから見える猿舎にさほど注意をはらわなかった。 
 キンタは幸せだったろうか?えさに苦労せず、病気になれば獣医にも診てもらっただろう。自然界では望むべくもないような長寿を袁舎のなかで暮らすことで得られた。それとも山のなかで群れの中で育ちボス猿争いやたくさんの子孫を残し、厳しい自然とたたかい破れて死んでいくのがよかったのか?
キンタの一生をあれこれ思い描くのは人間のエゴかもしれない。
しかし、キンタは人間によって自分の生きる方向を決められたのは事実だと思う。
 先日のニュース、議員立法で「尊厳死」に関する法案が提出されるとか。
法案の提出は人の死の尊厳か医療費の軽減か?難病患者の会の方たちは「反対」を表明しているようです。
 「死」は誰にでも来ます。法案を出す人もそれを見守る人も尊さを失わないようにしてほしいと思います。